本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

”eMAXIS Slim全米株式”の信託報酬率が引き下げられると聞きました。つみたてNISAでeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)に投資しているのですが、切り替えた方がよいのでしょうか?

投資信託の信託報酬は低いほどコスト的に有利だ。一方で昨今、各社が信託報酬の低いファンドを設立している。ファンドの切替えをするべきか、しないべきか。サラリーマン投資家のtoi3が分析していくぞ。
25.1.25よりeMAXIS Slim全米株式の信託報酬率が0.0770~0.0814%へ引き下げられました。投資信託のファンド選びのポイントとして低い信託報酬率が挙げられますが、現在投資しているファンドを変更するべき案件なのか分析していきます。
本記事のポイント
- 安易な切替えはNG。コスト、リターン、リスクの観点を比較して見極める。
- eMAXIS Slim全米株式のコスト/リターンは申し分なし。リスクが切替えのポイント。
投資信託の信託報酬は投資家にとってのコスト


そもそも信託報酬とは何ですか?

信託報酬はファンドを運用・維持することに対する会社への報酬だな。投資信託のコストは「販売手数料」と「信託報酬」の2つだ。現在「販売手数料」は無料(ノーロード)が増えているから、投資信託ファンドに投資する際の主なコストはこの「信託報酬」になる。

なるほど。信託報酬ってパーセントで表示されていてよくわからないのですが、結局どれだけ払うことになるんですかね?

良い質問だな。具体的な「1万口当たりの信託報酬(円/1万口)」=「保有期間中の平均基準価格(円/1万口)」×「信託報酬率(%)」×「保有日数(日)/365」になる。

わかりづらい。。。

たしかになー。例をあげるか。平均基準価格「14,000(円/1万口)」、信託報酬率「2%」のファンド1万口を365日保有するとどうなる?

えーっと、「14,000(円/1万口)」×「2%」×「365/365」=280(円/1万口)。今1万口もっているから実際に支払うのは280円ってことですね。

そうなる

あれ?この場合は実際はいくら投資しているんですかね?

それは平均取得価格(円/1万口)によるな。例えば平均取得価格「12,600円/(1万口)」だとすると12,600円が実際の投資額だ。

ざっくりイメージ、12,600円投資して1年で280円払うんですね。でもこの金額だとたかがしれてません?

それは保有数が1万口だからだ。もし126,000円投資して10万口持っていると2,800円支払う。100万口なら28,000円だ。

あー、投資額が増えるほど信託報酬が増えていくのか

そういうことだ。これが信託報酬「0.05%」だとどうなる?

えーっと、「14,000(円/1万口)」×「0.05%」×「365/365」=7(円/1万口)。今1万口もっているから実際に支払うのは7円ってことですね。

そうだな。10万口持っていると70円支払う。100万口なら700円だ。

だいぶ変わってきますね!

そうだ。投資額が増えるほど具体的に支払う信託報酬は増える。だから、つみたての長期運用で投資額が多くなることが見込まれる場合、支払い額が嵩んでくる。投資家が信託報酬を気にする理由だな。

わかりました! ちなみに投信の信託報酬の相場ってどれくらいですか?

インデックス型/アクティブ型や投資先で信託報酬は変わるからすべてを一括りにして相場っていうのは難しいが、0.05%~2.0%ぐらいが上下限かな

なるほど。eMAXIS Slim全米株式の信託報酬は0.0814%になったんですよね?eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の信託報酬は0.0575%だから、信託報酬の面ではオルカンの方がお得なんですね。

そうだな

なんだ、じゃあ切替えない方がよいですね

いや、それは判断が早すぎだな。

なんでですか?

コストの観点でオルカンがお得なのはその通りだが、リターンとリスクを考慮していない。そうだな、次はリターンについて話すか

お願いします!
投資信託で最も期待するリターン(年間収益率)が重要


投資信託に投資する我々が一番期待する事はなにかな?

そりゃあ、投資したお金が増えてくれることじゃないですか?

そうだな。それがリターンだ。投資信託では、交付目論見書の中で年間収益率や騰落率と記載されていたりする。利回りと考えても良いな

えっと、eMAXIS Slim全米株式の平均騰落率は+22.5%で、eMAXIS Slim全世界株式の平均騰落率は+19.3%か。つまり前者の方がリターンは大きいのか

過去の実績としてはそうだ。未来がどうなるかはわからないが、1つの参考指標になる

そうするとリターンと信託報酬率の関係ってどう考えればよいのですか?

1つの考え方としては平均リターンが今後も続くと仮定を置き、「平均リターン(%)」-「信託報酬率(%)」で実質のリターンを計算して比較する方法がある

なるほど。eMAXIS Slim全米株式の平均リターン「22.5%」-信託報酬率「0.0814%」=「22.4186%」でeMAXIS Slim全世界株式の平均リターン「19.3%」-「0.0575」=「19.2425%」。そうするとeMAXIS Slim全米株式の方が実質のリターンは大きいですね

そうだ。昨今、どの運営会社も信託報酬率を下げる傾向で、下2桁のレベルになってきている。そうなると平均リターンの差の方が実質リターンに対する寄与が大きい。信託報酬だけを見てファンドを切替えるのではなくリターンも見たいところだ

なるほど!それじゃあ、eMAXIS Slim全米株式に切り替えた方がいいんですね!

いや、まだ考えるべきことがある。

なんでですか?

リスクの観点だ。投資の世界でリスクとリターンは比例する。高リスクであれば高リターンだし、低リスクであれば低リターンだ。この話をせずに切替えの判断はできない。というわけで、最後にリスクについて話していくぞ!

お願いします!
リスクをどこまでとるか:全世界と全米


eMAXIS Slim全世界株式とeMAXIS Slim全米株式のリスク差は、投資している国だ。

前者は全世界、後者はアメリカですよね

そうだ。eMAXIS Slim全世界株式の投資国は下記になる


リスク分散の観点からいくと投資先は複数にばらした方がよい。どこか1つの国が下落しても他が上がればカバーしてくれるからな

なるほど。でもeMAXIS Slim全米株式もアメリカの株式全体に投資しているわけだから分散はしていますよね?

そうだな。そういう意味では個別株に投資するよりeMAXIS Slim全米株式はリスク分散がされているといえる。一方でeMAXIS Slim全世界株式はアメリカ以外の国にも投資するわけだから、仮に米国全体の株価が下落しても他の国がリカバーしてくれる可能性があるわけだ

でも、eMAXIS Slim全世界株式の63%はアメリカですよね?それにアメリカの株価が下落したら他の国も下落すると思うんですけど?

ここが考えどころだ!この先の未来、米国株式が下がれば全世界が下がる。と考えるのか、米国株式が下がっても他の国が上がる。ないしは下落幅を抑えてくれる。と考えるかは個人の読みが変わる。

むむ。悩ましいですね

もう一度言うが、リスク分散の観点ではオルカンの方がリスク分散している。投資の世界はハイリスク/ハイリターンかローリスク/ローリターンが鉄則だ。どこまでリスクを許容できると考えるのかが切替えのポイントだな

むむ。悩ましいですね
まとめ

正直、切り替えるべきか否かわからなくなってしまいました

確かに悩ましいな。今回の記事で一番言いたいのは、信託報酬が低くなったからといって安易に切り替えるのはNGということだ。もちろんコストは大事だが、リターンとリスクを考えたうえで切替え判断をしてほしい

うーん、それはわかったんですけど、結局どうすればよいのか。。。

リスクの許容度は性格、年齢、家族構成、金融資産ポートフォリオで変わるからな。最後、投資は最終的に自己責任だからな。自分のリスク許容度を考えて切替え判断だ!
「eMAXIS Slim全米株式」は新NISAつみたて枠でも投資可能なファンドです。新NISAは松井証券などのネット証券から開設できます。

「つみたてNISA」はこの7本を買いなさい――世界No.1投信評価会社のトップが教える安心・簡単な投資法
コメント